第3章 深紅の塔(クリムゾン・タワー)

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 いきなり2人を無力化されたNBのテロリストたちは混乱するかに見えたが、  すぐに着地した透馬に向かって自動小銃を放つ。透馬はすぐに真横に  飛び出し銃弾を交わす。連射した銃はけたたましい音を立てる。透馬は  駐車場の柱に身を隠した。  「前回の奴らとは違う。さすがプロだな。」  透馬は何事もなく態勢を立て直すテロリストに関心を示した。その証拠に  間断なく自動小銃の射撃が続き迂闊な動きが出来ないでいた。  確認できるだけでも15名ほどのテロリストがいる。どんな武器をどれほど  武装しているかも分からない。ただ運ぼうとしている大きなケースが問題だった。  爆弾である可能性が高いと透馬は考えた。  一方スピンした車に置き去りにされた花蓮はシートベルトを外して周りを  見回した。車は停車している従業員の車とテロリストを挟み込む位置まで  滑っていた。テロリストからは死角になり射撃が簡単にできない。  かなり強引だが何気に計算された透馬の行動に花蓮は感心していた。  銃声が少し離れたところから聞こえる。  「何が起こってるの?」  花蓮は透馬の忠告を無視して車から外に出ようとした。その時また  状況が変わった。先ほど自分たちが車で飛ばしてきた入口から別の  存在が接近してきたからだ。それは大型のトラックだった。2台縦に  並んで正面入り口を通り過ぎる。先頭の1台が大きくハンドルを切り  トラックは大きく後ろを向ける。もう一台は反対側に曲がり入口を  ふさぐように停車した。  先頭のトラックの後ろの扉がゆっくりと開く。テロリストも一瞬銃撃を  やめそのトラックに皆目線を向ける。トラックから2つの大きな影が  ゆっくりと地面に足を進める。その影は異質といってもよかった。  形は人間だったがサイズは一回り大きい。全身は群青色で統一されており  西洋の甲冑のような装甲であることが分かる。頭部もまさに西洋の  兜を連想させ、目の部分がかなり特徴的でオレンジの眼光が左右に   2つずつ並行に並んでいた。最初の一体は右手にM134ミニガンを  もう一体は大型対物ライフルXM109を右手に構える。  トラックから現れた2体はゆっくりとテロリストまで歩いていく。  その姿を見た透馬は最悪の状況になったと確信した。    「き、強化外骨格だと……」  
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