第3章 深紅の塔(クリムゾン・タワー)

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  2体の強化外骨格は有無を言わさぬ迫力をもって前進していく。   この状況にはさすがのテロリストたちも混乱が見えた。テロリストの   一人が大声で叫ぶ。   「構わん。撃て!」      その声の後一斉にテロリストたちは自動小銃を乱射する。だが2体の   強化外骨格には全く効果がなかった。着弾した瞬間に火花が散るが   すべて装甲ではじかれる。1体は小銃を受けながらM134の銃口を   テロリストに向ける。次の瞬間6本の銃身が高速回転し無数の弾丸   が発射される。一瞬で数人のテロリストの体がバラバラになり   吹き飛ばされる。外れた弾丸は周りの停車している車に無数の穴を   開けた。       ミニガンの射線上にいた人間はすべて原型をとどめていなかった。   飛び散った鮮血はスプラッター映画のように道路を染める。残った   テロリストの中には阿鼻叫喚の叫び声を上げる者もいた。   ミニガンの攻撃を避けるようにトラックの後ろや車を盾にするもの   もいたが今度はもう一体がXM109をぶっ放した。25x59Bmm NATO弾   にはトラックも車も紙同然だった。遮蔽物ごと撃ち抜かれその奥には   かつて人間だった何かが転がっていた。   この危機的な状況にテロリストたちも対応を変えざるを得なかった。   数人がけん制で射撃し残りの人員は会場に向かうという戦術に切り替えた。   搬入用エレベータは扉が閉まるまでに狙い撃ちにされる恐れがあるため、   非常階段から数人が大きなケースをもって上がっていく。   それに気付いた1体が左肩に搭載された回転式グレネードランチャーを向ける。   榴弾が緩い放物線を描いて非常階段を直撃する。大きな爆発を起こし   入口が完全にふさがれた。とはいえ数人は被害が受けない階まで上がっ   ていたためそのまま階段を上っていった。      残りのテロリストたちも抵抗するが絶望的な状況に違いはなかった。   そんな中、ミニガンを持った外骨格が何かを感知したかのように   向きを変える。その先には花蓮の乗っている車があった。   それに気づいた透馬はすぐに飛び出した。もう一体の外骨格に捕捉され   るが素早い動きで車まで一直線に走る。そのまま助手席に飛び込み花蓮を   抱きかかえると反対側まで転がっていく。         
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