第3章 深紅の塔(クリムゾン・タワー)

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  外骨格の背中で手榴弾が爆発する。爆発の衝撃で外骨格は前のめりに   倒れこもうとする。外骨格は手をついて姿勢をなんとか保とうとする。   それが透馬の狙いだった。懐から大型ナイフを取り出し、強化外骨格の   背中、人間でいうところの腎臓がある位置に突き立てた。   そこも装甲で覆われていたが正面より薄く、先ほどの手榴弾の爆発で   継ぎ目が変形していた。透馬は継ぎ目にナイフの刃を入れてテコの原理で   装甲を引き剥がす。引き剥がした先には白い樹脂のような素材で覆われた   長方形の物体が数個並んで配置していた。そのすべてを強引に外骨格から   引き抜いた。引き抜いた瞬間外骨格は糸の切れた人形のようにその場で   停止した。顔を見ると4つのオレンジの目も光を失って真っ黒になっていた。     今まで圧倒的な力でテロリストを蹂躙していた強化外骨格を一瞬で2体   行動不能にすることに成功した。このことは海の向こうにあるUSSヴァイス   ・マクマホンの作戦室にも通信された。2体の強化外骨格からのモニターを   見たジェイクはテーブルを両手で叩いて立ち上がった。   「今のは……なんだ。あの黒いやつはなんだ。」   士官も驚愕の表情を見せる。   「わ、わかりません。ですがあのAtlasをあそこまで吹き飛ばす    パワーは人間技ではないです。しかもあいつはドミナスセルの場所を    知っていた。強化外骨格の弱点を把握している。」   ジェイクもまた雷を受けたほどの衝撃を受けていた。      「India3!ただちに2体を救援せよ!」   士官はマイク越しに叫ぶ。それは冷静さを失っているようだった。   India3と呼ばれたビリー伍長は急ぎもう1台のトラックから降りる準備を   始めた。同時にIndia4ポール曹長は2人の若い兵士と通信を取り合う。      「India1 、India2、ニール二等兵!アレックス二等兵!応答せよ。」   ポール曹長は何度も呼びかける。すると苦しい声で応答があった。   「India2……。アレックスで……あります。負傷し体が……動きません。」   透馬の両足蹴りを食らって壁にたたきつけられた外骨格からの通信だった。   「アレックス!生きているか! いまビリーが助けにいく。」              
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