第3章 深紅の塔(クリムゾン・タワー)

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 透馬は背中を向けたまま右腕を後ろに向ける。そして腕を伸ばしたまま掌を大きく  広げる。その延長線上にHEDP弾が飛翔してくる。掌に着弾した瞬間大きな爆発が  起こる。爆発による炎と煙と粉塵が周囲を嵐のように取り囲む。  「India1!応答せよ!ニール二等兵!応答せよ!」  ビリーは力強く叫ぶ。返事があるまで続けるかのようだった。  「India1……二、ニール二等兵であります。」  ニールの声が小さく響き、ビリーは思わず声を上げた。  「無事か?」  「は、はい、何とか。すごい爆発音がしましたが…なにが?」  ニールは装甲が露出した強化外骨格の中に入ったままだが動けないでいた。  ベルトで体が固定されておりすぐに外すことができなかった。すると  足音が聞こえてくる。四つん這いの状態で固まっているため彼は地面を  向いたまま首を可能な限り動かす。    見えたのは先ほど自分を倒した黒い髑髏がゆっくりと歩き地面に転がっている  ミニガンに左手を伸ばしたところまでだった。次の瞬間軽々と持ち上げ振り向く。  そして榴弾を発射したアレックスに向かって銃弾が飛ぶ。銃身が回転し左肩に     
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