第3章 深紅の塔(クリムゾン・タワー)

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 残りのテロリストたちもこの少女が普通でないことをようやく理解した。  すぐに少女に向けて自動小銃を構えようとするが、少女は滑り込むよう  に懐に入り込む。ちょうど4人の男たちの中心に位置していた。  テロリストは同士討ちを避けるため発砲を躊躇う。そこに少女は付け込んだ。  一番近くにいる男の目の前でジャンプし頭を両足で挟み込み後ろに反り返る  ように後方に回転する。その勢いは強力で男は回転しながら飛んでいく。  その先にいるテロリスト一人を巻き込んだ。一瞬で半分の数になり男たちは  焦る。少女から左手にいる男が自動小銃をを構え引き金を引く。  少女の体を穴だらけにしようと連射するがかすりもしない。見たことにない  デタラメな動きに男は驚愕する。  少女はそのままアリゲーターのように四つ足で男の足元まで急速に  接近すると、右足首を取りそのまま背中側まで移動する。足を取られた男は  姿勢を崩した。少女は立ち上がり右足に抱き着くように時計回りに体ごと  高速回転する。男は竜巻のように何回転もして地面にたたきつけられた。  足首や膝がありえない方向に曲がり男は苦痛のあまり喚き散らす。  最後の一人になった男は目の前に起こった出来事が信じられないようだった。  だが周りに五体満足な仲間はいない。男は焦り懐からナイフを取り出し構える。  半身に構えナイフを逆手に持ち制空権を確保するかのように刃を振り回す。  少女はその姿をじっと見ていたが、やがて男に向かって真っすぐ歩を進める。    男は少女の信じられない行動に恐怖を覚えた。ナイフが見えないのかガード  することもなく腕を下ろして姿勢を変えずただ歩いてくるだけだからだ。  ナイフをもった男の殺傷可能範囲に少女が足を踏み入れた瞬間、男は  刃を真っすぐ少女の喉首に向かって突き出した。  刹那男の視界から少女の顔が消えた。少女は前進しながら最小限の動きで  ナイフを横に躱すと男に密着する。正面から右手を男の首に巻き付け固定  すると足をひっかけると同時に後ろに倒れこむ。男は顔面を思いっきり  地面に殴打してのたうち回った。  そして少女は立ち上がり扉に向かって走る。扉を地面に見立てて数歩走り  そのまま宙返りして両膝を倒れた男の腹部に突き刺した。        
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