第4章 帰還せしモノ

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  ではない、というよりほとんどのことを伏せなければならなかった。    透馬のことなどもっての他だった。当たり障りのないところで最近   見る夢の話をしてみた。   「ふ~ん。それって妙にリアルなの?」いちかは尋ねる。   「妙に。まるで経験してきたみたいな感じ。」   「んで、まずカンフーの使い手で、次がなんかの研究者で、最後が   あの事故のことか……」   いちかは考える人の像のように顎に手を当てる。そして何か   思い出したかのように手をたたく。   「それはきっと前世の記憶だね。」   いちかは花蓮に人差し指を突き付ける。クイズ司会者が正解と指すように。   「そう言うと思ったよ……」   花蓮は呆然とする。   「何言ってんのよ。生まれ変わりってやつあるんだよ。こないだ   の記事だと確かソウルゲノム(魂の遺伝情報)ってやつがあって   前世のことを全部記憶しているらしいのよ。花蓮のもきっとそれね。」   いちかは自信満々に解説する。   「じゃあ私、前世は武術家で学者で今は女子高生ってこと?    まだ異世界の記憶だったほうが説得力あるわ。」                  
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