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ではない、というよりほとんどのことを伏せなければならなかった。
透馬のことなどもっての他だった。当たり障りのないところで最近
見る夢の話をしてみた。
「ふ~ん。それって妙にリアルなの?」いちかは尋ねる。
「妙に。まるで経験してきたみたいな感じ。」
「んで、まずカンフーの使い手で、次がなんかの研究者で、最後が
あの事故のことか……」
いちかは考える人の像のように顎に手を当てる。そして何か
思い出したかのように手をたたく。
「それはきっと前世の記憶だね。」
いちかは花蓮に人差し指を突き付ける。クイズ司会者が正解と指すように。
「そう言うと思ったよ……」
花蓮は呆然とする。
「何言ってんのよ。生まれ変わりってやつあるんだよ。こないだ
の記事だと確かソウルゲノム(魂の遺伝情報)ってやつがあって
前世のことを全部記憶しているらしいのよ。花蓮のもきっとそれね。」
いちかは自信満々に解説する。
「じゃあ私、前世は武術家で学者で今は女子高生ってこと?
まだ異世界の記憶だったほうが説得力あるわ。」
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