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「頼む……もう少し時間をくれ…… 手掛かりはつかんでいるのだ……」
天野博士は先ほどの激高ぶりから反転し頭を垂れて懇願する。
「追って正式に通知がありますので……これで失礼します。」
男は踵を返し見向きもせず部屋を出て行った。その姿を
天野博士はじっと見つめる。やがて男が視界から完全に姿を
消すと思いっきりテーブルにあるフラスコを壁に叩きつけた。
「くそ!くそ!」
博士は獣のような声を上げて怒りを発散させた。
その時奥の暗闇にぼんやりと光が灯る。その光は漆黒の中に
虹色に輝くオーロラのように周りを照らす。博士はその光に
向かってゆっくりと歩き出す。
博士が歩いた先は奥の別室だった。博士は入口にある電源に
触れると別室に明かりがともる。そこにはある物体があった。
2m四方の立方体が台の上に置いている。立方体はガラスの
ような透明な物質で出来ていた。その立方体の中には液体が
充満しており先ほどの光は液体自体が発光していたようだった。
「彼女が……近くに……来た……」
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