第4章 帰還せしモノ

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 「こちらこそ。栗須透馬です」  「アッハッハ。そんな固くならなくていいよー。花蓮からいろいろ   聞いてるし。ところでなんでここに来たの?」   いちかの問いに花蓮が代わりに答える。  「実は透馬……じゃなくて栗須くんなんだけど、部活に入って   ないみたいで来週までになにか入らないといけない   ってことで……」       花蓮があわてて言い直したところをいちかはニヤニヤと見つめる。  「だから連れてきたんだ。ちょうどメンバー足りなかったもんね」   いちかは楽しそうだった。そんな彼女を見ながら   透馬は思わず尋ねる。  「何の部活かは、何となく察しがつくよ。俺も奥山さんから   いろいろ聞いているからね」  「いろいろ?」  「その……変わった趣味をお持ちで……」   そう言って透馬は奥にでかでかと存在をアピールする   ポスターを眺める。   その目線に気づいたいちかは思わず大声で部屋に響くように笑う。  「あっはっはっは。そのポスターいいでしょ?でも残念」   いちかはそう言ってポスターの横の扉に透馬を案内した。                   
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