57人が本棚に入れています
本棚に追加
/2335ページ
男は会場全体に響くくらいの声で叫ぶ。
「おい!そこをどけぇ!」
会場の客たちは再び混乱した。父に寄り添っていたいちかも
すぐに花蓮に目線を向けた。
「花蓮!花蓮!あんた何するのよ!」
いちかの叫びも無視するように男は吠える。
「こいつは人質だ。近づけば殺す。道を開けろ!」
白煙はまだ出続けており視界はよくない。男は花蓮を
人質にしたまま、髑髏の仮面を正面に捉えて歩き始めた。
男は正面扉を通り過ぎて非常口のある廊下に向かった。
嫌がる花蓮を無理やり引きずりながら。
髑髏の仮面はその状況を傍観していたように見えたが、
正面扉を過ぎたことを確認すると後を追いかけた。そして
髑髏の仮面が会場扉の視界から消えた瞬間。扉が自動的に
閉まった。
最初のコメントを投稿しよう!