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エレベーターが開き数人が廊下に侵入する。 群青色の制服に黒いベストを身にまとい
背中には大きく【POLICE】とプリントされている。警官たちは両手で銃を構えながら
頭を低くし小走りで会場の大きな扉の前についた。
1人の警官が腰のポケットから携帯端末を取り出し、扉の正面にある取っての認証部分
に端末をかざした。数秒後電子音がなりロックが解除され大きな扉は自動的に
開いた。
扉の先にはまだうっすらと煙が残っている会場が見え、中央には先ほどまで人質に
取られた人々が集まっていた。警官の姿を見た人々は安堵の表情を見せ、恐怖から
解放された反動か歓喜の笑い声が聞こえ、抱き合い涙を流す男女の姿もあった。
少しして別のエレベーターの扉も開き、同じように警官が廊下に飛び出した。
一人の警官が廊下の奥、粉々に砕かれたガラスとそこにたたずむ少女に気が付いた。
警官が少女にゆっくりと近づき、少女の背中から声をかける。
「君!、君!、大丈夫か?」
警官の問いかけに少女は最初まったく反応しなかったが、警官がそばまで近づき
少女の肩に手をかけたとき、少女の体はビクッと震えた。
「えっ、えっ何?」
花蓮は意識がなかったのか急な刺激に驚く。先ほどまでの行動をまったく
覚えていないようだった。髑髏の男が窓の外を飛び出すまで目の色は光輝く
青色だったが、今は茶色の瞳に戻っていた。肩に手を置かれ振り向くと一人の
警官が心配そうな顔つきで眺めていた、
「大丈夫かい?ケガはないか?」
警官の問いに花蓮は答える。
「だ、大丈夫です。」
花蓮の答えに警官も安堵する。
「もう心配いらないからね。」
その言葉にようやく危険が去ったと花蓮は確信した。
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