チーズ風呂

風呂が好きだ。いつも首までざんぶり入って、のぼせる直前まで湯に浸かっている。

湯に何かを浮かべたら、もっと好きだ。

柚子、緑茶が入った袋、アヒルのおもちゃ。薔薇はまだ浮かべたことがないけれど。

緑茶は賞味期限が切れたらガーゼの袋に入れて風呂に浮かべる。袋が破けない程度にぎゅっと握ると、お茶の香りがむわっと立って、緑のお湯がさらに濃い色になる。

母が言うには、美容効果があるらしい。でも私はそんなことより、袋をぎゅっと握るのが好きだった。風呂の湯を飲んだら、お茶の味がするだろうか。お茶風呂に浸かりながら、そんなことをぼんやりと考えた。

あ、チーズ風呂はどうだろう。

浴槽に座る私に、ラクレットチーズをとろりとかけてもらうんだ。肩まで浸かるくらいチーズでいっぱいにしたい。きっと至福の時間になる。

入る前に体を念入りに洗って、スプーンを持ち込むんだ。チーズか固まっちゃったら、スプーンですくってパンにつけて食べるんだ。贅沢すぎてマリー・アントワネットも真っ青になるね。

チーズ風呂から上がった私はすごく乳くさいんだろうな、とにんまりしてお茶風呂から上がるのだった。