永遠の始まり、断絶の終わり

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時空の裂け目から落ちた先は、やっぱり僕の研究所だった。 今回は間違いなく帰ってきたはずだ。計器をちらっと見ると、そこには発進した当日の日付が書いてあった。 良し、問題ない。僕は発進した当日に帰って来た。 A君の言っていた通りなら、僕はこの日に閉じ込められているという事だった。けど、一体どうやって閉じ込められているんだろう。ループするその時間に囚われているというのだろうか。どうやったら僕は、僕を助ける事が出来るのだろうか。 考えていても仕方ないので、僕はタイムマシンから出ることにした。発進した時と全く同じ、僕の研究所だった。 そう言えば今何時だろう、と僕はふと研究所の時計を見た。 その時計は、僕が発進した時間の、一分前を指していた。 何で過去に戻っているんだ。僕は意味が分からなかった。 そして急に、タイムマシンが発光し始めた。僕はタイムマシンに光る機能なんかをつけた記憶は無い。タイムマシンの扉を開けて中を確認すると、計器がどれもこれもとても眩しく光り輝いていた。 その光はさらに増し、危ない、と思った頃にはもう遅かった。 光はぐわりと広がり、僕はその光の中に飲み込まれてしまった。光は僕の体の中に入ってきて、いじくりまわした。脳が圧迫される嫌な感覚と、何か書き換えられていく感覚ばかりが、そこにあった。 そこで僕は理解した。矛盾の解消だ。僕の記憶を消しているに違いない。 僕の記憶が無くなれば、僕はまたタイムマシンに乗って、今日と言う特別な日を繰り返し続ける。そうやって僕は、この日に閉じ込められているんだ、と言う事を。 僕はそこでふと思った。 これは果たして本当に、初めての特別な日だったんだろうかって。 そう思ったのを最後に、僕の意識は消えた。 気が付けば、僕は僕の研究所に居た。 今僕の目の前には、タイムマシンが有る。 今日は特別な日になるぞ、なんたって、これからは時間を飛び越えられるのだから。
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