第7章 顔と身体が九割

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第7章 顔と身体が九割

「…、っ」 目を閉じて身体の奥から込み上げてくる異様な感覚に必死に耐える。それでも抑えきれず肩や腰、全身の表面がぴくぴくと震えるのを抑えきれない。隣を歩く男が口ぶりだけの心にもない心配を装って、わたしの肩を抱き寄せて囁いた。 「玉姫ちゃん、気分悪そうだね。大丈夫?顔が赤いし、身体がもじもじしてるよ。…どこか辛いの?なんだか、腰が。…びくびくしてるね」 白々しいったらない。何食わぬ顔してポケットの中のリモコンを弄ったらしく、振動が不意に強くなった。 「あ…、っ」 反射的に抑えきれない衝撃で全身がびくん、と痙攣し、その場にうずくまりそうになる。奴はわたしの肩を支えてなんとかその場に立たせ、気遣わしげに顔を覗き込んだ。 「このまま街を歩くのは辛そうだね。何処かに入って休もうか。座ってしばらくすればきっと落ち着くよ」 あんたがあれを抜いてくれればね。内心で毒づきながらも導かれるままに力なく引っ張られていく。いい加減、ホテルに入るのかな。それともこいつの部屋に行くとか?     
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