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「私達は皆、一種のエネルギー体なのです。
今、肉体を持っているようですがこれは現世とは異なるものです。
勿論痛覚もありますし、貴方も空腹を感じたでしょう。
但し、この隠世では身体が損害を被(こうむ)っても死ぬことはありません。それはすぐに再生されます。
少し話が逸れましたが、隠世も次元があって高次元の方々の放つエネルギーを他の世界が享受して総(すべ)ての世界は成り立っているのです。
小さなことで例えるなら気分が沈んでいる時に仲の良い人と話すだけで持ち直したりするのはそれを分けてもらっているからです。
徳を高めるというのはそのエネルギーである幽波(ゆうは)を高め、そこへ入ることに繋がるのです。
善行を行った時、相手が喜んでくれれば気分が良いでしょう?幽波はこうしたことで高まります。しかし自分の良心に反することをすれば下がります。
これは波動ですので高い幽波を持つものは高い者と引き合い、低い者はこれに倣(なら)います。
まぁ、“類は友を呼ぶ”のような感じと言えば分かりやすいでしょう。
これは簡単に落ちますが上げるのは継続力が必要ですから難しくなります。
そんな苦行である現世に旅立つことを自ら志願した貴方達は勇気ある者なのですよ。
今は分からないでしょうが暫(しばら)くここに居れば転生の記憶とともにそれも徐々に思い出すでしょう。
余談ですが、死ぬ直前に“生きてきた記憶が走馬灯のように蘇る”と前の世界で聞いたことがありませんか?その真相はこれに由来します。
話を戻しますが、最初に立った広場で力なく肩を落とした者達をご覧になったでしょう?彼等はそれを思い出して後悔しているか、次の人生の条件の厳しさに転生を保留しているのです。
ここにはいつまでも居られますが彼等は常に飢えと乾きに襲われ、かといって死にませんし自殺という逃げ道もありません。
ここでは誰も転生を強要しませんが、罪の尻拭いも手伝えません。それは来世で宿命となって精算されます。つまり現世で罪を犯し、自ら命を断とうと逃げ得はできないのです。」
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