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「それでは証人を用意しましょう。
貴方の歴史の黒い部分を私達も一緒に聴くことになりますが医者に裸を見せるようなものと思ってお気になさらず・・それと証言は一通り聴くまで止められませんがよろしいですか?」
誰が証言しようが研次は構わない。なぜなら四六時中彼を見張っていた人間などいないからである。
「では、俗名(ぞくみょう)羽黒研次の常導神をこれへ。」
研次が了承すると岐司は印を結び、声も高らかに眼を天に向けた。
岐司が九字を唱えだすと研次の頭に耳鳴りのような音が入ってきた。
それは段々と大きくなり、スピーカーが放つハウリングに引けを取らないほど不快なものとなって脳内に響き、たまらず頭を抱えるとそれは止んだ。
ほっとして前を向き直すと証言台に何者かが立っていた。
それを見て研次は息を呑んだ。
目に映ったものは向こうが透けて見える半透明でありながら幼い頃の自分そのものだったからである。
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