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 初めての風呂焚きは、結構楽しかった。  ばあちゃんが湯加減を問うと、中から「もう少し」と男の声が返ってくる。少し薪を足す。だけど他にやる事がない。二人並んでしゃがんでいるだけで、暇になってしまった。ばあちゃんとは長い時間一緒にいた事がないから、何を話していいか分からない。 「松葉でっぽう、教えちゃるけん」  ばあちゃんは落ちていた松葉を拾い上げ、くいくいと曲げて尖った先端を刺した。そうして出来上がった物は、鉄砲というにはやや無理がある形だった。てっきり、引き金になるよう丸めた片側の葉を刺して、鉄砲っぽい形を作るのかと思ってたのに、全然違う。  でも、ばあちゃんがそれを火に翳すと……パシッと弾けた。 「うわっ、すごい!」  ばあちゃんはにこにこと笑っている。「もう一度!」と、強請ってまた作って貰った。作り方はさほど難しくない。子どもの僕でも、真似をすれば簡単に作れた。火に翳すと、パシッと弾ける。これは面白い。僕は夢中になって、いくつもいくつも作って遊んだ。
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