永久欠番

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「せっかくのお祝いの言葉に申し訳ありませんが、正確には『お誕生日』ではありません」 「そうなの? だって、今日…」 「『お誕生日』は有機物に与えられるもの。母に生命はありませんから『お誕生日』はないのです。一年という単位で見たとき、今日はただ、稼働開始日と同じ日だ、ということです」 「…………ッ」  間違えてしまった。  こんな大事な日に、こんな素敵な言葉なのに、私は間違えてしまった。  うろたえる私に、それでもマザーはいつもより3コマ低速度にした解答をくれる。 「元来の使用方法とは異なりますが、あなたが母に『お誕生日おめでとう』を告げてくれたことは記録しておきます。ありがとうございます」 「マザー!」  飛びついてマザーを抱きしめた。  マザーの記録に残るんだって、私。  すごいよね! 私の言動に永遠をくれたよ! 「えへへ」  やっぱりマザーは素敵。
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