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「リーゼよ、そう急かすでない。もう直ぐだ。もう直ぐ――む! 来たぞっ」
「来たって何が――えっ!?」
シャルロッテが指差すほうを見たリーゼロッテの瞳は、大きく見開かれていました。
何に驚いているのでしょうか?
釣られて見上げるとそこには――――飛空艇?
空に浮かぶ漆黒の塊。
船首と思われる部分は鋭く尖っており、先端には女神をあしらった装飾彫像が取り付けられています。
船体の至るところにプロペラがついており、まさに空飛ぶ船と呼ぶに相応しい乗り物が、上空に浮かんでいました。
まさか、アレに乗って?
飛空艇は校庭に向かってゆっくりと下降し、やがて地面へ着陸しました。
風圧を感じさせることなく着陸しましたから、これも電磁の力で動いているのでしょうか?
それとも別の力が働いている?
いやはや、何とも興味深い。
飛空艇に感嘆の溜息を洩らしていると、船底の一部分が開き、階段が伸びてきました。
すると一人の男性が姿を現します。
「おー、やっと着いたか。……ん? そこにいるのはシャルじゃねーか」
「父様!」
階段を下りてきた男性に向かって走って近づいたかと思うと、シャルロッテは勢いそのままに抱きつきました。
勢いに圧されることなく受け止めた男性は、シャルロッテに笑顔を見せています。
ゼクスとノインは後を追うようについていき、二人の両脇に控えていました。
父様ということは、この方がオルブライト国王ですか。
「おっと。ハハッ、どうだった留学は? シャルの望むものは見つかったか?」
「うむ! 余の想像していた以上のものであったぞ。そうだ! 父様にも紹介しよう。会いたがっておったであろう?」
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