第6章 五騎士選抜編

78/80
前へ
/799ページ
次へ
「リーゼよ、そう急かすでない。もう直ぐだ。もう直ぐ――む! 来たぞっ」 「来たって何が――えっ!?」  シャルロッテが指差すほうを見たリーゼロッテの瞳は、大きく見開かれていました。  何に驚いているのでしょうか?  釣られて見上げるとそこには――――飛空艇?  空に浮かぶ漆黒の塊。  船首と思われる部分は鋭く尖っており、先端には女神をあしらった装飾彫像(フィギュアヘッド)が取り付けられています。  船体の至るところにプロペラがついており、まさに空飛ぶ船と呼ぶに相応しい乗り物が、上空に浮かんでいました。  まさか、アレ(・・)に乗って?  飛空艇は校庭に向かってゆっくりと下降し、やがて地面へ着陸しました。  風圧を感じさせることなく着陸しましたから、これも電磁の力で動いているのでしょうか?  それとも別の力が働いている?  いやはや、何とも興味深い。  飛空艇に感嘆の溜息を洩らしていると、船底の一部分が開き、階段(タラップ)が伸びてきました。  すると一人の男性が姿を現します。 「おー、やっと着いたか。……ん? そこにいるのはシャルじゃねーか」 「父様!」  階段を下りてきた男性に向かって走って近づいたかと思うと、シャルロッテは勢いそのままに抱きつきました。  勢いに圧されることなく受け止めた男性は、シャルロッテに笑顔を見せています。  ゼクスとノインは後を追うようについていき、二人の両脇に控えていました。  父様ということは、この方がオルブライト国王ですか。 「おっと。ハハッ、どうだった留学は? シャルの望むものは見つかったか?」 「うむ! 余の想像していた以上のものであったぞ。そうだ! 父様にも紹介しよう。会いたがっておったであろう?」
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5234人が本棚に入れています
本棚に追加