第9章 「冬休み編」

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「そうですか……」  ミシェルはそう呟くと目を瞑り、考える素振りをみせました。  正直なところ、二人の親である公王とディクセンが既に決めており、相手となるエステルも了承している以上、ミシェルに選択肢はないに等しいです。  ここで理由なく断れば、親の顔に泥を塗ることになりますし、エステルだって傷つくでしょう。    ただ、気になることもあります。  沈黙が続き、少しだけ重苦しい雰囲気が漂い始めた場で手を上げました。 「口を挟むことをお許しいただけますか」 「いいだろう」 「ありがとうございます。ミシェルとエステル様の婚約は大変喜ばしいことだと思います。ただ、結婚となった場合、エステル様はヴァインベルガー家に嫁がれるということでしょうか?」 「そのつもりだが、何か問題でも?」  レーベンハイト公王家の子どもに男子はおらず、リーゼロッテとエステルだけのはずです。  そのうちの一人を他家に嫁がせるということは、リーゼロッテは嫁がせずに婿を取るという考えですか。   「いえ、お答えいただきありがとうございます」  公王に向かって一礼しました。   「公王様」  それまでずっと黙っていたミシェルが口を開きました。  瞳の奥は、どちらにするか決意したような光を帯びています。
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