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エステルの誕生パーティーに参加した貴族は数え切れないほど多く、会場用の広間は大変賑わっていました。
それもそのはず。
公王は公国に在籍している全ての貴族に招待状を送っていたのです。
公王の招待状とあっては断る者などいるはずもなく、多くは当主かそれに準ずる方がいらっしゃっているようです。
これだけの貴族が集まることはあまりないのか、あちこちで挨拶を始めています。
広間を見渡すとロートスの姿もありました。
隣には、ロートスよりも頭二つ分は背の高い男性が知り合いであろう貴族と談笑しています。
顔立ちが似ているところを察するに、恐らくロートスの父親なのでしょう。
考えは当たっていたようで、私に気づいたロートスが男性に声をかけたかと思うと、二人してこちらにやってきました。
「お目にかかるのは初めてですね。私はカール・フォン・ノイマンと言います」
「初めまして。ディクセン・フォン・ヴァインベルガーの息子でアデルと申します。後ろにおりますのは弟のミシェルと妹のマリーです」
親子ほどの年の差があるにもかかわらず、丁寧な言葉で話しかけてきたカールに、私も失礼の無いように挨拶を返しました。
ミシェルとマリーも私に倣ってお辞儀をしています。
「ディクセン殿のご子息は礼儀がしっかりとしていらっしゃるようですね。それに比べて我が子は……先日の件も申し訳ない」
ちらっとロートスの方を見たカールは、顔をこちらに向きなおすと、軽くではありますが頭を下げてきました。
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