第9章 「冬休み編」

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 ロートスが一瞬にしてギョッとしたような表情になりました。  ロートスだけではありません。  私たちの会話を横目で見ていた周囲の貴族も、同じく目を見開いていました。  中には、広間にそぐわぬ素っ頓狂な声を出している貴族もいます。 「正式な書面でも謝罪していただきましたし、お気になさらないでください。きっとロートスくんにも考えがあってのことだったのでしょうし」 「そう言っていただけるとこちらとしても助かります。……さあ、ロートス」  カールに促されたロートスが一歩私達の前に出てきました。  少々むすっとした顔で、カールと私を順番に眺めてから、彼は諦めたようにゆっくりと頭を下げました。 「……この前は、いきなりすまなかった」 「気にしなくてもいいのですよ。ただ、今度来るときは事前に教えてくださいね」 「わ、分かっている!」  ロートスはそう言い返すと、直ぐにカールの隣りまで下がりました。  ふてくされる子供のように唇を尖らせるロートスに、カールはやれやれと言わんばかりに首を振りました。 「まったく……これで謝ったと言えるのかあやしいところではありますが、今日はエステル様の祝いの場です。いずれまた、機会を設けさせていただきたいのですが、構いませんか?」 「それは……いえ、承知しました。まだ学生の身ではありますが、機会があれば是非」 「ありがとう」  そう言ってカールはかすかな笑みを浮かべると、ロートスとともに別の貴族のもとへ行きました。
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