第9章 「冬休み編」

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 そして、公王とリーゼロッテ、そして私の三人は会談に臨みました。  ディクセンは私と一緒だと顔で分かってしまう可能性があるということで、同席していません。  ただし、何かあればすぐ駆けつけられるように近くで待機しています。  応接室で待っていた人物を見たとき、「おや?」と思いました。  どこかで見たことのある顔だったからです。    澄み切った青空を連想させる美しい海碧(かいへき)の瞳に、黄金と見まごうばかりに輝く金髪の青年。  青を基調とした軍服にはところどころ金の刺繍が施されており、肩当てにはライオンと思われる紋章が象られています。  使者というにはあまりにも整った顔立ちをした使者に呆気にとられている私たちをよそに、目の前の使者はスッと立ち上がると柔和な笑みを浮かべました。 「突然の訪問で申し訳ございません。私の名前はアルバート・ダグラスと申します」  ……似ています。  "学園対抗戦(シュラハト)"の中日に、リーゼロッテやマリー達と街に出た際に出逢った青年にそっくりなのです。 「いや、こちらこそお待たせして申し訳ない。ユリウス・フォン・レーベンハイトだ」 「リーゼロッテ・フォン・レーベンハイトでございます」  公王とリーゼロッテが腰を下ろしたのを確認してから、アルバートも座りました。  後ろに立つ私を一度だけ見ましたが、特に何も言うこともなく、彼は視線を公王たちに戻しました。 「いやはや、驚きました。噂にはお聞きしていましたが、リーゼロッテ様がこれほどお美しい方でいらっしゃるとは……。ギルバート様が心を奪われたのも頷けるというものです」
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