第9章 「冬休み編」

44/108
前へ
/799ページ
次へ
 第二王子の名前はギルバートというようですね。  ですが、第二王子が直接リーゼロッテと会ったことはないはず。  いったいどこで……? 「リーゼロッテ様は現在、どなたとも婚約をされていないとお聞きしております。是非、一度ギルバート様とお会いしていただけないかと。正式な書状はこちらでございます」  アルバートが懐から一枚の書状を出しました。  書状に目を通した公王の手がぶるぶると震えています。 「こ、この書状に書いてあることに間違いないのか?」 「私は書状の内容を知らされておりません。ですが、それはギルバート様が直接書かれたものでございます。であるならば、全て真実かと」  二人の後ろに控えている以上、公王がどのような表情をしているかは分かりません。  しかし、何度も書状とアルバートを見返すほどです。  よほど重要な内容が書かれているのでしょう。 「……お父様。どのようなことが書かれているのですか?」  リーゼロッテが公王に問いかけると、公王はアルバートの顔を見ました。 「リーゼロッテ様に関わることなのです。問題ないかと」  公王は「それもそうだな」と言って、書状からリーゼロッテに視線を移しました。
/799ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5233人が本棚に入れています
本棚に追加