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「いいか、よく聞くんだ。これにはリーゼロッテとの面談希望日と、もう一つ、重大なことが記されている」
公王は緊張しているのか、いったん息を吐くと、トーンを押し殺したものに変え、言葉を続けました。
「もしリーゼロッテと婚約できるのであれば、レーベンハイト公国に婿入りしても構わないだそうだ」
「なっ!?」
驚きすぎて心臓が止まりそうになりました。
さきほど、公王自身がその可能性もありうると言っていましたが、会う前にそのような表明をしてくるとは……。
「今までは年に一度の使者による交流しかありませんでしたが、これは両国の新たな架け橋となる、素晴らしい縁談でございましょう」
アルバートはそう言って笑みを深めました。
「う、うむ。そうだな。だが、まずはギルバート王子と会ってみないことには話は決めることはできない。すまないが、日取りについては使者を通じて後日、返事をさせていただきたい」
「承知しました。ギルバート様にもそのようにお伝え致します。本日はお目通りいただき、誠にありがとうございました」
こうして、アルバートとの会談は終わりました。
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