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倒した者たちをひとまとめにしていると、ヴァインベルガー家からルートヴィッヒが使用人を引き連れてやって来ました。
「アデル様、これはいったい……」
「ミシェルを狙った襲撃者たちのようです」
「なっ!?」
「詳しい説明は後です。お父様はまだお城にいらっしゃいますね?」
「はい。今日は遅くなるとお聞きしております」
ちょうどよいです。
エステルと婚約したミシェルを狙ったということは、すなわちレーベンハイト公王家に刃を向けたも同じこと。
ディクセンだけでなく公王にも立ち会っていただきましょう。
ただ、このまま連れて行くのは危険ですね。
「彼らを城に連れて行きます。紐と布は持ってきていますか?」
運転手に屋敷から人を呼んでくる際に、紐と布を持ってくるようにと伝えていたのです。
するとルートヴィッヒは直ぐに頷きました。
「持ってきております」
「宜しい。紐で両手を縛り、布で口を塞いでおいてください。目を覚まして異能を発現されると困りますから」
「かしこまりました」
すぐさまルートヴィッヒは連れてきた使用人たちと手分けして、倒れている襲撃者を次々と捕縛していきました。
「お兄様」
「兄上」
車の中からマリーとミシェルが心配そうな目で私を見ています。
流石にもう大丈夫だとは思いますが、二人を連れて行くわけにはいきません。
笑みを浮かべると、なるべく優しい声色で話し掛けました。
「大丈夫です。後は私に任せて二人はこのまま屋敷に戻りなさい。ルートヴィッヒ、城に行くのは使用人だけでよいので、貴方は二人を頼みます」
「はっ、お任せ下さい」
ルートヴィッヒがマリーとミシェルの乗る電磁車に乗り込み、屋敷へと戻っていくのを少しだけ見送り、私は残った使用人たちと襲撃者を連れて城に戻りました。
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