5234人が本棚に入れています
本棚に追加
城に到着すると、扉の前に立つ騎士が慌てて近づいてきました。
「アデル様、これはいったい……」
「お父様、いえ、ディクセン団長がまだこちらにいらっしゃるはずです。呼んできていただけませんか。ミシェルが賊に襲われたとお伝えください」
「しょ、承知しました!」
騎士が走りながら城の中へ入ってから数分後。
ディクセンとともに戻ってきました。
「アデル、ミシェルを襲った賊というのは?」
「こちらです」
連れてきた男たちを車から降ろし、ディクセンに見えるように、横一列に並ばせます。
全員意識を取り戻しており、眉を情けなく下げて、ディクセンを見上げています。
ディクセンは鋭い眼光で一人ひとり顔を眺めていましたが、見知った顔があったのか、ある男の顔を見た瞬間、目を見開きました。
「シモンズ子爵、そうか、其方がミシェルを狙うとは……」
シモンズと呼ばれた男は、必死で何かを言おうとしていますが、口を塞がれているせいで聞き取れません。
「囀るな、申し開きは陛下の御前で聞く。ミシェルに手を出したということは、我がヴァインベルガー公爵家だけでなく、レーベンハイト公王家に手を上げたも同然なのだからな」
その言葉に、シモンズはガクガクと震えていました。
シモンズだけではありません。
捕縛されている全ての者が同様に震えています。
「既に陛下は謁見の間でお待ちだ。アデル、お前もついてくるのだ」
「かしこまりました」
先を行くディクセンの後に続き、私はシモンズを引きずって、その他の男たちは近衛騎士が引っ張って、城の中へと入っていきました。
最初のコメントを投稿しよう!