5234人が本棚に入れています
本棚に追加
謁見の間には公王が玉座に座っていました。
壁際にはずらりと近衛騎士団の騎士が並んでいます。
リーゼロッテは……どうやら居ないようです。
ディクセンはそのまま公王の横に並び立ちました。
私は公王の前にシモンズたちを座らせると、その場に膝まづきました。
「夜分に参上した無礼をお詫びいたします」
「よい。アデルよ、ご苦労だった」
「いえ、家族を守るのは当然のことです」
守ることが出来るだけの力を持っているのであれば、尚更です。
「口にして実際にやってのける者はそうはいないのだがな。まあ、今はよい。では、アデル。其方の話を聞こうか」
公王の言葉によって、尋問が始まりました。
私は城を出てから先の出来事を語りました。
私たちの車をつけている者がいたこと、それに気付いて車を降り、異能を発現して襲撃者を倒したこと、指示を出していたリーダーと思われる男がシモンズであったことを述べていきます。
「そちらのシモンズ子爵でしたか。私の記憶が確かなら、彼はミシェルとエステル様の婚約発表の場にいらっしゃったはずです。ミシェルに対して鋭い視線を向けていたので、おそらく間違いないかと」
一部の貴族がミシェルに妬むような視線を向けていたのは確かです。
襲われた時は暗がりだったので分かりませんでしたが、今は明るいですからね。
覚えていた顔の中の一人と一致します。
最初のコメントを投稿しよう!