第9章 「冬休み編」

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 公王はダンっと大きな音を立てて玉座から立ち上がると、信じられないといった目を私に向けてきました。  公王はすぐ隣りに立つディクセンを見ましたが、当然のことながらディクセンも初めて聞いたことなので、何度も首を振っています。  ややあって落ち着きを取り戻した公王は玉座に座り直すと、大きく息を吐いてから私を見ました。 「すまない、少々取り乱してしまったようだ」 「いえ、急なことでしたので驚かれたのも無理はございません」 「そうだな。私の聞き間違いでなければ、アデルがリーゼロッテと婚約したい、と聞き取れたのだが……」 「間違っておりません。確かにそう言いました」  平然とした調子で告げると、二人とも顔を見合わせて驚愕の顔を浮かべました。   「それは、将来的にリーゼロッテと婚姻を結ぶということだぞ」 「もちろんです。私にはその覚悟がございます」  リーゼロッテの人生を背負う覚悟ができたからこそ、婚約を口にしたのです。  終わりを迎えるその日まで添い遂げる覚悟もせずに、軽々しく婚約したいなどと言うつもりはありません。 「今まで婚約をお断りしてきた無礼をお詫びします。そんな私が今さら何をと思われるかもしれません。ですが、私の全身全霊をかけてリーゼロッテ様をお守りします。どうか婚約を許していただけないでしょうか?」
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