第9章 「冬休み編」

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 公王とディクセンには、婚約のことを公表しないようにお願いし、承諾していただきました。    ディシウス王国からの正式な書状を受け取っているのです。  形式に則った返事をしていないのに婚約発表などしたら、ディシウス王国はもちろん、ギルバート王子の顔にも泥を塗ってしまうことになります。  少なくとも、ギルバート王子とお会いしてお断りを入れるまでは二人の婚約は公にしないほうがよいでしょう。  公王とディクセン、私にリーゼロッテの四人だけの秘密にして、誰にも口外しないことを確認すると、その日はお開きになりました。 ◇  リーゼロッテと新たに婚約を結んだ後。  これといって大きな出来事は起きませんでした。  日々は、ある意味平穏に過ぎ去っていきます。  いえ、変わったことが一つだけありました。  冬休みに入って屋敷に戻ってからというもの、私はなるべく家族と――マリーやミシェルと一緒に食事を摂るようにしていました。  屋敷から遠く離れた学園という箱庭で離れて暮らし、寂しい思いをさせてしまっている妹や弟と少しでも同じ時間を過ごすには、食事は大切な時間なのです。    ですが。  この日、私たち兄妹のテーブルは、普段とは明らかに異なっていたのです。
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