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とまあ、ずっとこうして昼食を採っているわけなのです。
しかも、内々に婚約を決めてから三日連続で。
リーゼロッテとの距離感は一気に縮まったといいますか、縮まりすぎたといいますか、正直無いに等しいです。
そんな状況を三日も見ているマリーやミシェルですから、当然私とリーゼロッテの関係に気づいているでしょう。
そもそも、私を諭してくれたのはマリーなのですから。
「……ミシェル、よく見て勉強しておいたほうがいいですわ。エステル様にお会いした時にお兄様のような振る舞いができれば、お互いの距離がグッと縮まるに違いありませんわ」
「僕に兄上と同じことをしろだなんて、無理に決まってるだろ。父上と手合わせをするほうが百倍マシさ」
近衛騎士団長であるディクセンと手合わせするほうがマシとは……解せません。
普通に真摯に向き合い、思ったままを行動に移すだけでよいというのに。
二人の話を聞いているあいだに、私の料理が全てなくなりました。
次にやるべきことは一つしかありません。
私はリーゼロッテの前に置かれた料理を、フォークとナイフを使って一口大に切り分け、彼女の口元に運びました。
「次は私の番ですね。はい、あーん」
「あーん。ふふ、こうして食べさせてもらうと本当に何倍も美味しいわね」
リーゼロッテは目を細めて、ふにゃりとした微笑みを浮かべています。
それが何故だか嬉しくて、同じように微笑みを返しました。
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