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マリーとミシェルが砂糖を吐き出すようなげんなりした表情を向けていますが、ただ見つめ合っていただけですよ?
リーゼロッテの食事も終わると先に席を立ち、彼女の後ろに回ってゆっくりと椅子を引きました。
「食後に屋敷の裏にある庭園を散歩しませんか?」
庭園は外にあるので、今の季節であれば厚着しないと風邪を引いてしまうかもしれません。
ただ、うちの庭園は少し変わっているのです。
庭園一体をドーム状のガラスで覆っており、温度が一定に保たれるように施されていました。
季節に合わせて花を植え替えているので、色んな種類の花の色や香りを楽しむことができます。
「アデルの家にある庭園は、いつも丁寧に整えられているから楽しみだわ」
「ありがとうございます。さあ、お手を」
そう声をかけて手を差し出すと、リーゼロッテは淡い微笑みを浮かべて私の手を取りました。
白く滑らかで綺麗な手です。
部屋を出る前に、後ろを振り返り、マリーとミシェルに声をかけました。
「二人も一緒にどうですか?」
「せっかくのお誘いですけど、私たちは遠慮させていただきますわ。お兄様とリーゼロッテ様だけでどうぞ。ねえ、ミシェル」
マリーが同意を求めるようにミシェルに視線を投げかけると、ミシェルはこくこくと頷いていました。
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