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まったく、そのような顔をされては困ります。
そして、やはり今こうして隣にいることができて本当に良かったと感じています。
私の決断が遅ければ、きっと今以上に悲しみにくれていたでしょうから。
「大丈夫。何があろうと私がお守りいたします」
「アデル……」
すると、リーゼロッテは輝くような笑顔を見せました。
――あぁ、この笑顔を守りたい。
そう思った私は、彼女の華奢な肩に手をかけると、「え?」と目を丸くするリーゼロッテの頬に口づけをしました。
私からの不意打ちを受けたリーゼロッテは、今までみたこともないほど頬を紅潮させています。
「本当はこちらにしたかったのですが、それは全てが終わった後でということで。今はこれで許してください」
リーゼロッテの艶やかな唇に触れながら告げると、顔全体が真っ赤に染まりました。
ボン! と音を立てて爆発してしまうのではないかと思うほど、リーゼロッテは赤くなっています。
「それとも、今した方が宜しいですか?」
「ふぇ!? い、今はいいわ! これで充分よ!」
口づけされた頬に手を当てるリーゼロッテの慌てる姿もまた愛らしく感じてしまうのは、やはり好きだと自覚したからでしょうか。
「それでは行きましょうか? 少し冷えてきたことですし、お茶にしましょう」
興奮冷めやらぬ様子のリーゼロッテの手を指を絡めて繋ぎ、私たちは屋敷へと戻るのでした。
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