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ディシウス王国へ向かう当日。
私とリーゼロッテの前に現れたのは意外な人物でした。
「ウェリントン伯爵家当主、ハーヴェイより、リーゼロッテ様とアデル様の護衛を仰せつかって参りました。リビエラ・ウェリントンと申します」
リビエラは私たちに向かってにこりと笑って礼をしました。
「道中、よろしくお願い致します」
「え、えぇ?」
その予想外すぎる展開を前に、リーゼロッテは大口を開けてポカンとしていました。
王族が国外に出る場合、如何なる理由があろうとも不慮の事故を考慮して護衛をつけるものです。
何か起きた時には即座に動ける者が傍にいたほうが、送り出す側も安心できますしね。
以前、聖ケテル学園に一時留学してきたシャルロッテが連れていたゼクスとノインが良い例でしょう。
「リビエラさん、よいのですか?」
「ええ、私はこういう時の為に今まで育てられてきたのですから。それに、お二人のことは公王様とディクセン様よりお聞きしています」
「なるほど」
「ああ、ハーヴェイは知りませんよ。あくまで私だけです。父はディクセン様から私に、お二人の護衛をするようにという命を受けただけですから」
「そして、城へ馳せ参じた際に私達のことを聞いたというわけですね」
「そういうことです」
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