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目に涙を浮かべながらリビエラを睨みつけるリーゼロッテの顔もまた愛らしいと思ってしまうのは、愛しい人が見せる表情だからかもしれません。
おっと、見とれている場合ではありませんでした。
「リビエラさん、あまり私の可愛い婚約者をからかわないでください。本気にしているではありませんか」
私の言葉を聞いたリビエラは抱きついていた左腕から離れ元いた席に座ると、すまなそうに頭を下げました。
「お許し下さい。リーゼロッテ様のお言葉が嬉しくてつい調子に乗ってしまいました。――それにしても、『私の可愛い婚約者』ですか」
「ええ、私の大切な婚約者です」
私はリビエラの言葉に頷きつつ、自由になった左腕でリーゼロッテの頭を優しく撫でます。
「……貴方は変わりませんね。まあ、リーゼロッテ様だけに向けられているのであれば、喜ぶべきことなのでしょうけど」
「誰に対しても真摯に向き合うことを変えるつもりはありませんよ。ただ、リーゼロッテ様と他の方とのあいだに差ができたのは事実です」
「それはリーゼロッテ様の幸せそうなお顔を見れば分かります」
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