幕間 「アデルの夏休み」

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 一瞬、帰ろうかとも思いましたが、今戻ってもミシェルやマリー、ルートヴィッヒ達はともかく、お父様やお母様はあまり歓迎してくれないでしょう。  異能を発現出来るようになった今なら二人の反応も多少違うかもしれませんが、どうせならもう一つ手土産が欲しいところです。  手土産とは当然【五騎士】の称号。  確かお父様も若かりし頃に【五騎士】に選ばれたことがあると、ルートヴィッヒから聞きました。  私が【五騎士】に選ばれて帰省した時に、二人がどういった反応を見せるのか。  その為にも今回は戻るわけにはいきません。  ただ、ガウェインにハッキリと告げる訳にもいきませんからね。  申し訳ないですが、少しぼかした言い方をしますか。   「少々込み入った事情がありまして。家族に関わることですので、聞かないで頂けると助かります」  少しだけ困ったような笑みを浮かべながら答えると、ガウェインは「しまった」というような、何とも情けない顔をしました。 「そ、そうですか。それなら仕方ないですね……。くっ! 弟子として察することが出来ず、申し訳ありません!」 「いえいえ、気にしなくても良いのですよ。ガウェイン君達のおかげで学園生活も楽しいですからね」  こういう時は直ぐにフォローを入れるに限ります。  私は極力柔らかな笑みを浮かべてガウェインにそう告げると、ガウェインは目を大きく見開きました。 「あ、有難いお言葉! このガウェイン・ボードウィル、今の言葉をしかと心に刻んでおきます!」  何とも大袈裟過ぎませんかね。  私は喜ぶガウェインに苦笑しつつ頷きます。   「ところで、ご用件はそれだけですか?」  ハッと我に返ったガウェインが、直ぐに大きな声を上げます。 「あ! そうでした! 夏休みに帰省しないと言うのであれば、夏休み中の一日を使って外へ遊びに行きませんか?」 「遊びに、ですか……」
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