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常導神が一通り述べ挙げると一瞬静寂が室内に漂う。
研次はどうにもばつが悪く、俯いたまま動けない。
「どうして・・」
沈黙を破ったのは常導神だった。
「どうして私の言葉に耳を傾けてくれない・・どうして私を蔑(ないがし)ろにする・・どうして私に気づいてくれない・どうして・・どうして・」
見る影もなく老け込み、錘で腕の自由もままならない常導神は掠れた声を絞り出し、ざんばらの白髪を振り乱しながら足を引摺り、研次へと近づいていく。
その姿と彼の途切れない問いに研次は恐怖して声を発することも出来ず、目を見開いた。
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