良心に背き続けた男

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研次がいくら裕福になったとはいえ、毎日部下達を連れて飲み歩くほど経済的余裕はない。だから彼等に振る舞う場所は高くない居酒屋であることが多く、たまに二次会に及んでもスナック止まりでその頻度も週に1、2回だった。 それ以外の日は一人で安酒を呷(あお)り、インターネットカフェやサウナで終電まで時間を潰すのだが、そこを切り詰めるには或るラウンジに入れ揚げているという理由があった。 金のために良心を捨てた研次には家庭も落ち着ける場所ではなく、彼が人心地つけるのはここ以外にない。 初めてそこを訪れたの雪のちらつく寒い夜だった。
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