あなたを愛したいから(完結)

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 身内には反対され、馬鹿にされ。周囲の人々からも呆れられ、手術費の募金をお願いしとあらゆる手立てを講じ、今日のこの日を迎えた。  手術はほぼ一日かかり、その後1ヶ月は昏睡状態になるという。その後も状態が安定するまではガラス越しでしか見ることしかできない。  結婚してから、今までこんなに長く彼女に触れられない期間はなかったと思っただけで僕は泣けて泣けてしかたなかった。  どうか神さま、愛する妻を連れていかないでください。  どんな形でもいい。妻が生きて僕の側にいてくれればそれだけでいいんです。  どうか。  どうか、どうか……。    ほぼ一日が経ち、「手術は無事成功しました」と聞いた後も僕はずっと祈り続けた。  仕事に行き、終わってから毎日病院に通う日々。彼女の姿はモニター越しにしか見えないし、ずっと昏睡状態だから全く動きはない。それでも僕は彼女が生きていることを感じたくて毎日かかさず通い続けた。  しかし一ヶ月が過ぎても彼女は目覚めず、二ヶ月が過ぎた頃やっとうっすらと目を覚ました。  僕は狂喜した。  二ヶ月が経ち、彼女の顔はやつれて見えた。意識の確認などを経て、リハビリなども含めて全て隔離された場所で行われるらしいという。  インターホン越しに彼女の声を聞いた時、僕は神に感謝した。     
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