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「嬉しい! こんなことで離婚なんて考えないわよね?」
「も、もちろんだ、よ……」
逃がすまいとするようにさらにきつく抱きしめられる。
「彼女は性同一障害だったそうです。この手術は賭けでしたが、彼女は無事男性の体を手に入れ……」
とても楽しそうな医者の説明がひどく遠い。
僕は彼女が好きだった。どうしても彼女を手に入れたくて苦手なスポーツもしたし、彼女がほしがりそうな物も手に入れた。
だけどもうその気持ちさえもなんだったのかわからなくなっている。
ただ一つ確かなのは、彼女の首から下は女性ではなくなってしまったということ。
そしてそれに、彼女がひどく満足しているという事実だけだ。
「愛しているわ、幸助さん」
Fin.
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