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あなたを愛したいから(完結)
今日は特別な日だ。
愛する妻が健康な体を手に入れるため、非常にリスクの高い頭部移植手術を受ける日。
この先ずっと、僕と元気で楽しく暮らしていく為に妻はまだ数えるほどしか成功例がない移植手術を受けることに決めた。
彼女は4年前、事故で首から下の神経をやられ体が動かなくなってしまった。
これでは貴方を愛すことができないと、彼女は絶望した。
僕は彼女が生きていてくれたことに感謝した。もともと、僕が彼女に惚れて半ば縋りつくようにして結婚したのだ。
これで彼女は僕から一生離れられないと、一瞬昏い感情が生まれたことは否定しない。それぐらい僕には彼女が必要だった。
だからリスクが高く、莫大な金のかかる頭部移植手術を彼女がしたいと言った時当然僕は反対した。
そんな手術を受けたら彼女は死んでしまうかもしれない。
だって首を切られるんだ。他の人間の体とくっつけるなんてまるでSFの世界じゃないか。
けれど彼女は本気だった。
「貴方を抱きしめて、愛したい。それができないなら貴方を嫌いになるし、生きていたくない」
最終的に、僕は折れた。愛する彼女の断固とした言葉に逆らえるはずはなかったのだ。
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