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それに気を良くして研次は辺りを駆け回る。人間の縮尺なら100メートルはあろうかという距離にも一瞬で移動できるし、息があがることも、疲労すらない。
『ひょっとすると人間で生きるより遥かに快適なんじゃないか?』
そう思ったとき、“ガジャッ”という音の後に“ドォン・ドォン”と重い振動を発する地響きのような重低音が腹に伝わる。
研次は一瞬驚いたがそれはリビングに入ってきた真知子だと分かった。
「おぉ、真知子!・・俺だ!・・会いたかった!」
それは彼女に聞こえるほどの音量もなく、キィキィと鳴るだけだった。
地響きはすぐに止まり、その音源は研次の全身に視線を集中している。
『まさか、俺が分かるのか!?』
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