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精気無く、憔悴しきった彼らは生きる屍のようなものだった。
重い足取りで進んでいた者は空腹に耐えきれなかったのか、若(も)しくは覚悟を決めてやっと転生への踏ん切りをつけたにちがいない。
悪辣(あくらつ)のまま生涯を終えた者には行くも地獄なら留まるのも地獄である。
研次は苦しみながら何も得られない後者より思い切って前者を選んだようだった。
彼は平伏を直り、再び椅子に座ることでそれを岐司に意思表示した。
「羽黒さん、殊勝な心がけですね。」
それを見て岐司は安堵した。
彼にある憐憫(れんびん)はどんな者であれ、坊鬼に打たれるの姿など見たくはないし強制送還に踏み切る選択もできる限り取りたくない。
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