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「では出生地ですが、候補は・・」
「・・岐司さん、どうか、どうか真知子のところへ行かせて頂けませんか!?」
途端に相好を崩しつつあった岐司の表情に曇りが射す。
「・・いや、無理なこととは分かっています。その・・人間でなくてもいいんです。ペットとかでもいいんです!」
それを見て研次は矢継ぎ早に言葉を繋げる。
「それはできません。人は人にしか生れ変われないのです。それに貴方が再び彼女と縁を持つにはまるで徳の度合いが相応しくありません。単位で言えば十と億ほどの位の差です。」
この期に及んで虫のいい提案をしてくる研次に対して岐司は失望が募る。
盗人猛々しいとはよく言ったものでやはりこの男も厳しい人生に立ち向かいたくはなく、反省の意味など理解していないに等しい。
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