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「岐司さんはさっき、愛情を学んでいないと仰いましたが私は誰より彼女を愛していたはずです!」
全く偏屈な“愛情”を臆面もなく主張し、訴える研次の必死さが憐れみを通り越して滑稽に映り、岐司は思わず失笑してしまった。
「何がおかしいんです!?」
研次が僅かに語気を荒らげる。
「いや、失礼。笑ってはいけないですね。・・それで彼女の元へ行ったとしてどうするのです?」
ぴくりと動きを見せる坊鬼に視線を遣らず、岐司は右手の掌を向けて岐司は彼を抑える。
「・・真知子とはもう会えないのでしょう?・・それならせめて最後の別れを告げたいのです。」
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