3135人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
「はい……」
「彩?なかなか電話が掛かって来ないから心配で掛けたんだが、今大丈夫か?」
「はい」
「もう、アイツと話が終わったかと思って電話したんだけど、どうだった?」
「真治ときちんと話しました……。連絡遅くなってごめんなさい」
彩は、普通に普通に……と頭の中で反芻しながら喋りはじめるも、自分では気づかなかったが、少しだけ声が低めのトーンになっていた。
「なんかあったのか?」
「えっ?」
「声が、落ち込んでるように聞こえる。もしかして、何かされたのか?????だから、心配してたのに、あいつ!!!」
晃の声が一気に大きくなり、捲し立てるように話し出した声がスマホから聞こえてくる。
「お前、いまどこだ?家か?まだ帰ってないのか?どうなんだ?教えろ!!!!」
「えっ」
「どこだって聞いてる!早く話せ。どこなんだ?」
「えっ、あ、か、会社の近くの駅の前ですが……」
「じゃあ、会社の前まで戻れ。すぐ行く。絶対そこから動くなよ!!!!」
ブチッと切れた後、『ツーツーツー』という電話の無機質な音を聞きながら、スマホを持ちながら彩は固まっていた。
(なにが、どうなって、こうなったの?晃さんがここに来る?な、なんで?まだ、会うにはちょっと……心の準備……なんで。しかも、晃さんなんだか怒ってたし……。どうして……あっ…え?)
「えぇーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
土曜日の23時。
彩は、まだ人通りが多い中で大きな声で叫んでしまったことに気づいて口に手を当てた。
最初のコメントを投稿しよう!