恋をはじめました

8/23

3138人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
 土曜日のあの後、そのまま晃は彩を自宅まで車で送ってくれた。  次回、晃と会うまでに少しでも恋愛ということを知っておきたい。初めて知った恋という感情がこのままだと持て余してしまい、また何かおかしな行動や考えをおこしてしてしまうかもしれない。  だから少しでも、今現在の恋愛スキルレベル0.1からレベアップして晃に会いたいと思った。とりあえず、手っ取り早く恋愛のいろはがわかるHOW TO本が一番いいかもしれないと彩は思ったが、買いに行くには深夜すぎることに落ち込む。  自分の部屋でスーツを脱ぎながら、深いため息を吐いた彩は、目の前のパソコンに目をやる。本がダメなら、インターネットで情報収集をしたらいいのではと思って、そのまま急いで、近くのパソコンの電源を入れた。  『恋 どうしたらいい』『初恋』『恋愛テクニック』  インターネットは残酷なもので、初恋は小学生が多いってことを知ってしまい、27歳の自分の初恋の処方箋は一切見当たらなかった。  そして世の中の人は、恋について知るのが早いってことを知って愕然とした。  小学生の気持ちの移り変わりと自分の気持ちの移り変わりや行動は違うだろうと、いくら経験がない彩でもわかる。  パソコンを閉じ、上を向いて彩の狭い部屋の天井を眺める。 (1週間くらいじゃ、まったくレベルが上がる気がしない。しまいに、男同士の恋愛事情も書いてない……どうしたらいいんだろうか…、今回はどうにかなったが、次回晃に会った時にまた普通に接することが出来るだろうか…)  日曜日も彩なりに色々と調べてみたが、恋愛に対して何も収穫がなく、結局わからないまま休日が終わるのだった。
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3138人が本棚に入れています
本棚に追加