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彩は、みるきぃの言葉を頭の中で繰り返し繰り返し考える。
その言葉が本当なら嬉しいが、どうしても彩の中では晃の思いが自分とイコールだとは信じられないでいた。自分がこの気持ちが分かった時に消化しきれなかったように、晃も同じように思ったとしたら、普段通りに接することは出来ないんじゃないかと思う。
男女の関係であればすんなり納得できるかもしれないが、所詮男同士なのだ。
晃と話したときに女の人と付き合ってたという話や、女の人にモテるという話も聞いていたから余計に彩と・・・男同士でそういう関係になるのは自然ではない。
一番の友達として、手のかかる弟という事で可愛がってもらってるんだと、やっぱり晃と自分の思いは違うのだという結論に達していた。
「よぉ!なに難しい顔してんだよ。お疲れー」
「し、真治…」
「林さん、お疲れさまです。ビールでいいです?」
「ああ」
みるきぃは、その言葉を聞いて店員を呼び、真治の分のビールを注文した。そしてさっきまで彩とやり取りしてた内容を掻い摘んで真治に説明をする。
その間、彩は身体を丸め俯きながらその説明をたまご焼きを突っつきながら聞いていた。
「みるきぃはですよ、絶対その人は黒須さんのこと大事で好きって思ってると思うんです」
「んー、こればかりはな。相手は男が好きってわけじゃないんだろ?」
「うん、そうだと思う…」
「でもな、吉田さんが言うようにその人は黒須のことを大事に思ってるのは事実で、現に俺も睨まれたしな」
真治は、あの時のことを思い出したように苦笑いを浮かべていた。
その状況を見て、みるきぃは机に手を付き立ち上がった。
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