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そこは流石に手取り足取り書いてなかった。実体験を聞いてみたいが、受け役の人を知らないし、そんなセクシュアリティな部分に踏み込んで話すことなんてできない。
いくら真治は男しか無理と知ってても、その部分をレクチャーしてもらうなんて無理だろうな…と彩は思った。
小説5冊を並べて視線をくゆらせる。この5冊には恋愛のイロハだけじゃなく、エッチの話まで網羅されていた。この1週間で様々なことを知り頭がパンクしそうだった彩は、大きなため息を吐く。
全く知らなかった情報を得ることが出来たけど、この本のように実践に移すのは難しいなと感じた。まだこの恋は始まったばかりなのだ。
これからこの恋心を温めて熟していって、いつか気持ちを伝えられたらと漠然と考えていただけだったのに、本の中ではライバルが現れたり、相手が離れて行ったりと、強引にセックスされたりと、のんびり構えてたら、ことごとく主人公が痛い目にあっていた。
でも、のんびりは出来ないかもしれないが焦ってもうまくいかないことも知った。
恋って駆け引きが重要で、とても難しいものなんだなと改めて感じる。
『その人に対して真摯だったか、自分の気持ちに正直にいること』
『頭の中で色々考えて、相手の為という変な勘違いしないで自分の気持ちを我慢しないように』
普段通り、自然体、そして自分の気持ちを大切にする。
みるきぃや真治が彩のことを思って伝えてくれた言葉だけは、胸に刻んで忘れないでおこうと思った。
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