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今だって、晃が何に惹かれて自分と付き合ってくれるのか、信じられないでいるのだ。
だからこの前、初めてセックスという行為に及んだ際も、信じられなかったし、そして一生懸命彩なりに勉強した世間一般の初体験とは、自分の行為は違っていた。
それが、本当に異質な行為だったのか確かめたかったのだ。
「え?! じゃあ、とうとう?」
「チッ、お前な……」
チリーン……
みるきぃが店員を呼ぶベルを鳴らした。そして『何かご注文ですか?』と個室のドアを店員が開けてきた所をすかさず、みるきぃは早口で注文を始める。
「どうしよ。シャンパンってこの店あったよね? シャンパンを。3つグラスと……」
店員が『かしこまりました』と言い、その後すぐにシャンパンと3つグラスをもってやってきた。そのシャンパンをグラスに注ぎながら、みるきぃはニヤニヤしながら口を開く。
「専務としたんですよね。この場合は、処女喪失おめでとう! とか? とりあえず乾杯しましょ」
「あぁぁぁぁ……。ちょ。それは、そうだけど……。そんな祝ってもらえるような話じゃなくて……」
「ほら、林さん乾杯の音頭を!」
「グラス持って。ゴホンッ、黒須の初体験にカンパーイッ!」
みるきぃに注がれたシャンパンを3人で乾杯という言葉とともに、グラスをぶつける。その様子に、彩は祝ってもらうようなことではなく、相談にのってもらうために呼び出したことをため息交じりに伝えた。
「違うんだよ……。相談するために……」
「えーー、祝わないでどうするんですか? 27年目にしての初体験ですよ。あ、でも、童貞喪失じゃないから、このまま黒須さんは魔法使いになるのか……」
「相談も何もないだろ? ただヤッたってだけの話だし、何かあったとしても2人で解決しろよ」
「こんなの、晃さんに言えないよ。高校生同士の初体験と、38歳と27歳カップルの初体験じゃ重みが違うだろー。これで、本当に合ってるのか聞くくらいいいじゃないか!」
「プッ。とりあえず、話してみてくださいよ。あってるかどうかはそのカップル同士の問題だけど、大丈夫って言って欲しいんでしょう?黒須さんは……」
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