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「はぁはぁはぁ・・・」
(つらっ。ちょっと500mくらいの距離なのに・・・
こんな時のために身体鍛えておけば良かった)
ちょっとの距離でへばっている自分の体力の無さに嘆いた。
晃から逃げるようにして、彼を振り切って走って地下鉄の駅まできたものの、すでにまた彩は、後悔の念に駆られている。
(そんなに、否定しなくてもよかったんじゃないか。
専務だって、何かしてやろうと思って近づいたわけじゃないだろうし。
もしかしたら、本当に友達が欲しいだけかもしれない。
サンフランシスコから帰ってきて、心細いかもしれない・・・)
つくづく自分は、気が弱く人のことを心配するお人よしなんだと思った。
苦手だという印象を持ったのであれば、近づかなければいいって思っていたものの、相手から近づいてきたら断り切れない。
でも、今回は断って逃げてきてしまった。
本当にこれで良かったのだろうかと彩は思案する。
(でも、彼はうちの会社の専務なんだよな・・・)
彼は、落ち込んでないだろうか。
一人置いてきてしまったが、途方に暮れてないだろうか・・・・
怖かったはずなのに、彩はいつの間にか彼のことを思って切ない気持ちになっていた。
(次回、もし次回があったら、1回くらい付き合おうかなぁ・・・)
そう思いながら彩は、家路を急いだ。
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