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結局彩は、激しい緊張のせいで普段より多めに飲んでしまったため、かなり酔いが回ってしまった。酔いが回るにつれ、結構ズケズケものを言った気がする。
でも、そのおかげかこの2時間ほどで、晃に対して抱いていた『嫌な奴』という印象は、少しずつ崩れつつあった。
確かに、上から物事いろいろ言ってくるけど、本当は表現下手なだけで、その中には好意や思いやりが含まれてるのかもしれないと思った。
そう考えると、この強面の御曹司もなかなか可愛いところがある・・・。
心を読み解くのは大変だけど、友達になってほしくて色々してきたのであれば、手を差し伸べてあげようかと思った。
「ふふ。専務、そんなに言うなら、僕友達になってあげてもいいですよ」
お酒が美味しいし、ふにゃふにゃしながら、机に肘をついて晃を見つめた。
晃は、そんな彩を目を細めて口の端を緩めながらみていた。
「ほんとうか?」
「だって、専務の友達って、秘書さんしかいないんですよね?仕事と関係ない友達になりましょ」
「黒須君も、一緒の会社じゃないか」
「でも、僕と専務は一切接点ありません。専務が経理部に来ない限り。きっと会社内で会わないんじゃないですか?」
「俺が会いに行ったら?」
「そ・・・それはやめてください。迷惑です」
晃の眉毛がぴくッと動き、眉間に皺をよせ彩をみた。
「迷惑?やっぱりお前は・・・」
彩は、否定を表すために首と手を大きくブンブン振った。
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